アンティークジュエリー物語n.83
マテリアルの手帖 6
瑪瑙と玉髄
古今東西、ジュエリーのマテリアルといえば、主役として、土台として、金やプラチナ、銀といった貴金属に宝石や真珠など、たくさんの種類があります。どれも特有の性質をもち、数千年前から人類の身近にありました。
この「マテリアルの手帖」では、アンティークジュエリーに欠かせない素材についてご紹介してまいります。
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さて今回は「瑪瑙と玉髄」についてです。
瑪瑙はアゲート、玉髄(ぎょくずい)はカルセドニーのことで、アンティークジュエリーではカメオやインタリオなどの彫刻作品によく見られますから、だれもが一度は目にしている石ではないでしょうか。

ふたつの石は名前は違いますが、どちらも成分は二酸化ケイ素、いわゆる「シリカ」でできています。
シリカは目では見えない微細な結晶で、数万から数億年という時間をかけて、微細サイズのまま固まっていき、石になります。

このようにシリカが微細な結晶のまま石となった構造を、鉱物学で「潜晶質(せんしょうしつ)」といいます。
「潜晶質」の石には光は入りますが、微細な結晶同士で中で乱反射し、光は通過しません。
ゆえにアゲートやカルセドニーは半透明の石となり、
独特のしっとりとした質感や、光を優しく包み込むようなとろりとした色合い、触れると柔らかに感じる質感をつくっています。

しかし「アゲートとカルセドニー」は成分は同じでも、見た目が違います。
それは地球の中で石となるまでの間、熱、圧力、時間、場所などの環境により、アゲートは縞模様、カルセドニーは模様が無く半透明でほぼ単色と異なった姿になったからです。

その特徴的な見た目には、それぞれに名前がついています。
大きく分けますと、
アゲート(瑪瑙)
・アゲート:カラフルな縞模様の石
・オニキス:黒単色または白やグレーとの縞模様の石
・モス・アゲート:石の中に苔(モス)模様が見える石
・模様アゲート:石の中に風景画、樹木やシダ、レース状の縞模様など具象的な模様があり、ランドスケープアゲート、レースアゲートなどとも呼ぶ石
カルセドニー(玉髄)
・カーネリアン:オレンジから赤褐色の石
・様々な色のカルセドニー:ブルー、ブラック、ミルキーホワイトなどの石
・クリソプレーズ:生成時にニッケルが結合することによる明るいグリーンの石
があります。

自然のアーティストがどんなふうに作ったのか分かりませんが、縞模様や色など、ふたつとして同じものが無いアゲートやカルセドニーの魅力は尽きません。

なかでも、風景や樹木、苔やシダのような植物紋が見えるアゲートは、古来より神の石とされ、コレクションの対象となり、ルネサンス時代には王宮に特別室も作られたほど、興味の対象となりました。

( 博物学の王宮内部 ルネサンス時代 )
風景や植物に見える面白いアゲートについては、この次のコラムでご紹介をしていきたいと思います。

46億年前に誕生した私たちの地球、
2億年かけて海があらわれ、8億年かけてやっと、単細胞の生命があらわれました。
そして今、地球上には870万種類の生物がいます。

想像を超える長い時間をかけて、今の地球になり、生命が誕生している間に、石も作られていました。
そのひとつが、私たちが今目にしている「アゲートとカルセドニー」なのです。
そのためか、石の姿はマグマや大気、水といった地球ができる過程を感じさせます。

手にした石の中に、地球の歴史を感じるのも、「アゲートとカルセドニー」の魅力のひとつでしょうか。
46億年間に、惑星の衝突、空気と水、大地の変動、絶滅と進化とともに石ができ、それは偶然なのか、必然なのか、もしかしたら人間には、わからないことなのかもしれません。

ひとつだけ言えることは、目の前の「アゲートとカルセドニー」は、地球が作ったものであるということです。
それを使いアンティークジュエリーにある美しさを作ったのは人智であり、石は人智を超えた地球からの贈り物といえますでしょう。
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