N°0500 ジュール・ブラトゥ作 – アレクサンドロス大王 アンティークカメオ
19世紀フランスの彫金宝飾作家、ジュール・ブラトゥ作のアンティークカメオジュエリーをご紹介いたします。
古代の装飾品にインスピレーションを受けた18金製の台座へ、アレキサンドル大王の肖像を彫ったシェルカメオをセットしてあり、後面のパーツにより、ペンダントとブローチに着けることができます。
フレームは古代ギリシャ様式で、古代の金細工技法であるグラニュレーション(粒金)、フィリグリー(ねじり編金線)、彫金でつくった植物文、立体的な花型装飾で飾っています。
紀元前の古代エトルリアやギリシャの遺跡から発掘された金の装飾品には、数千年にわたり失われた宝飾技法が使ってありました。
19世紀にはイタリアの宝飾家カステラーニをはじめとして、それらを研究し技法の復活を行い、このようなジュエリーに仕上げました。
10倍に拡大しても、均一な網目や線のなめらかさに変わりなく、19世紀の宝飾技巧の見事さがわかります。
背景を艶消しに、装飾は艶ありでレリーフ状に浮き立たせています。
シェルカメオはアレクサンドロス大王を、古代ギリシャ神話のディオニュソスに神化しています。
ディオニュソスは神々の王ゼウスの息子で、成長、生命力や豊饒の象徴で、ディオニュソスのシンボルの葡萄の葉と、王を示す花勲章型を組み合わせた合わせた冠に、古代ギリシャの装束の横顔です。
アレクサンドロス大王は、哲学者ソクラテスの弟子アリストテレスに教育を受け、幼い頃より文武両道の才人として知られています。
史上初にヨーロッパ統一を行った大英雄として、その後の全ての歴史上の英雄たち、たとえば古代ローマの皇帝カエサル、フランスの太陽王ルイ14世、ナポレオン1世などから崇められていました。
幅7.5cm、縦4.6cmのフレーム後面には、トップにチェーン通しのリングとブローチピンがあり、リングは手前に倒れ、ブローチとしてつける場合にはリングは表からは見えないつくりです。
ブローチピンをかけるパーツにジュール・ブラトゥのサインが見られます。
18金の色をはじめ、貴金属へのレリーフや彫金を得意としたジュール・ブラトゥならではの、古代様式に添った細かな細工や全体の仕上げと、クラシック様式のカメオが魅力のアンティークジュエリーです。
○ ジュール=ポール・ブラトゥ_Jules=Paul Brateau_宝飾作家_貴金属彫金細工師
ジュール=ポール・ブラトゥ(1844年ー1923年)は、フランスの宝飾作家、貴金属彫金細工師である。パリ装飾美術学校で学ぶ。作家としてはルネサンス様式やアールヌーヴォー様式の壺などの装飾オブジェが代表作であるが、ブシュロン 、ヴェヴェール、ファリーズ といったフランスを代表するジュエラーからオーダーを受け、ジュエリーを創作した。貴金属彫金細工師としての力量を生かしたレリーフメダイユでは、1878年のパリ万博で銀賞、1889年には金賞を受けている。また1900年のパリ万博では審査員をつとめ、1894年にはレジオンドヌール・シュヴァリエ勲章を受勲している。
◯ グラニュレーション
金属の台座に非常に小さい粒状、球状のものをろう付けする技法で、パターンに合わせて文様的に装飾をつける。日本では「粒金」と言われる。古代のエトルリアの金細工が遺跡から発掘され、19世紀にローマのジュエラー「カステラーニ」などによって技法が研究され、古代のものは0.18mmほどのサイズがあり、完全な復元とはなっていないが、近しい細工を作ることが可能となった。古代当時の技法は完全には解明されていない。
◯ フィリグリー
「フィリグリー」とは、宝飾師により、主に金や銀などの貴金属を糸のように細く作った線状のものを、コイル状に巻き上げたり、縄編み状や粒彫金を施し、それらを溶接して作りあげる宝飾技法。
フレームを土台に様々な文様を作る、土台を使わず線だけで透かし文様(オープンワーク)を作る場合もある。宝飾師がミリ以下の単位の線から作る細工は、機械では不可能な、レース編みのような細やかさがある。元来この技法は、古代遺跡から発掘された古代ギリシャやローマ時代の宝飾品に使われていた細工で、19世紀の宝飾師の研究により復刻された技法でもある。
フランス 19世紀後期
ジュール=ポール・ブラトゥ作
素材:貝・18金
サイズ:L7.5cm W4.6cm
カメオサイズ:L3.4cm W2.7cm
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France, Late 19th century
Jules=Paul Brateau
Material: Shell, 18K Gold
Size: L7.5cm W4.6cm
Cameo size: L3.4cm W2.7cm
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