N°0433　Sold*　アモルとプシュケ 古代インタリオ指輪

こちらの作品は販売済となりました、ありがとうございました。

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古代のインタリオ （陰刻）の指輪をご紹介いたします。
インタリオは古代ローマ時代の紀元前1世紀頃の作品で、フランスの1800年前後頃に指輪にセッティングされました。

インタリオのモティーフは、古代ギリシャ時代の神話にもとづく「アモルとプシュケ」です。
人間界の王女プシュケの美しさを妬んだ美の女神アフロディテは、息子アモルに愛の矢を使い醜い怪物と結婚させるよう命じました。
しかしアモルはプシュケに恋をしてしまい、神であることを隠し姿を見てはいけないと伝え、夜だけプシュケと逢瀬します。
しかしプシュケは愛する人を一目見たい気持ちから、蝋燭の光でアモルを見てしまいました。

愛する人が神であったことに驚いたプシュケは、蝋をアモルの肩に垂らしてしまい、アモルは目覚め、約束を破ったプシュケに信頼を失い離れてしまいます。
その後プシュケはアモルを探す旅に出て、神の国で様々な試練を受けます。

至高の愛をアモルへ捧げる姿に、神々の王ゼウスは感銘を受け、プシュケに不老不死の飲み物と、魂の象徴の蝶の羽根を与えます。
そしてプシュケはアモルに再会し、永遠の愛を成就するという神話です。

ヨーロッパでは、この神話は古代から現代まで、時代を超えて好まれています。
ギリシャ哲学において、プシュケは「魂」、アモルは「愛」のシンボルとされ、「プシュケとアモル」のモティーフは、魂と愛の両方を備えた「真実の愛」を意味しています。

さて指輪について、まず石に注目してください。
インタリオは白と焦げ茶濃淡の色層のニコロアゲートで、珍しいのは、周囲に白い層が、フレームのようにインタリオ を囲んで出ていることです。

横から見ても、白線が綺麗にでています。
これは石層の性質を見極めて、カボションにカットして現れるようにした白線です。

しかし、ニコロアゲートなら、どんな石でも白線が現れるわけではありません。

ニコロアゲートは、美しい層を持つ石として、いにしえから貴族や皇位階級の人々に求められた石ですが、なかでも指輪の石のように、カットして白線がインタリオの周りに綺麗に現れる石というのは稀少なのです。

このインタリオは、見えているところのサイズが幅17mm、縦12mmで、このサイズの中に、完璧なバランスとデッサン力を使い陰刻しています。
インタリオは、ひと彫りの線から陰影やボリュームをつけます。
したがって、彫刻師は、高度な技術と、石の色層を生かす芸術的センスが必要です。

向かって左のアモルは愛を伝える笛を吹き、向かいには、魂のシンボルの蝶の羽根のあるプシュケがいます。
プシュケは、ゼウスから与えられた不老不死の飲み物の入った壷を持ち、アモルの奏でる愛の調べに想いをはせています。
また、アモルは少年の姿で表しています。
アモルは、古代ギリシャ時代は青年像でしたが、古代ローマ時代には少年像で表現されたという歴史があるからです。

彫りを見ますと、プシュケの布のドレープには淡い茶色に注目してください。
それは、ニコロアゲートの色層を生かしたもので、同じこげ茶色部分でも、彫りの深さで層内部にある茶色の濃淡を使って柔らかい布を表したものです。

目視で見るだけでも、この繊細な表現が、インタリオに陰影とコントラストをつくり、より深みを与えているのがわかります。
単に1色のこげ茶色の層に凹凸を彫ったというだけでなく、色層を理解し彫刻しています。

指輪は、古代ギリシャ時代の装飾様式です。
インタリオのフレームには、正面と側面に線彫りをつけてあります。これはニコロアゲートの白線と饗応しています。

両横には、各2枚の月桂樹の葉を象ったフレームにダイヤモンドを各２石セッティングしており、リングにも線彫りをつけてあります。
月桂樹の葉は古代ギリシャ時代から「栄光・勝利」のシンボルで、アモルとプシュケの魂と愛を称えるモティーフになっています。

以上のように、石、陰刻、指輪のつくり全てに、高い美意識を感じられますし、見た目だけでなく、着けやすく、「アモルとプシュケ　- 真実の愛」の神話にもとづく物語も魅力です。
なお、リングサイズは変更いたせます。