アンティークジュエリー物語n.8
ベルエポックで
フルール・ド・リス II
前回のコラム n.7 では、フルール・ド・リスはデザイン的に見ても、中央が高く曲線と直線のバランス美しい完璧な様式である、とお話し致しました。
フランス王家ゆかりの人々は、この装飾を19世紀以前には王家紋章として宝飾へ飾り、近世にはその美しいデザインを生かしたジュエリーが作られています。
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1900年前後のベル・エポック期から50年代頃まで、クチュールのドレスで夜会に出た大貴族ゆかりの人々は、古典的なフルール・ド・リスを使ったデザインを、当時のグランサンクに注文しています。
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フルール・ド・リスは、フランス王家のシンボルですが、当時、王侯貴族は存続していたにも関わらず、革命以降いにしえほど公的にフランス王家の存在を表すことはありませんでした。
しかしジュエリーへシンボルを表すことにより、王党派であることを密やかに現し、それゆえ尊敬と憧憬をも受けてきました。
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また、百合の紋章は、十字軍の旗印にも使われたように、十字架を思わせるデザインでもあります。
フランスはバチカンの愛娘と言われるように、古来カトリックの国で、十字架に通じるフルール・ド・リスは、大変フランス的なデザインのジュエリーの一つです。
シメントリーの美しいデザインは、中央に身につけると落ち着いた静謐感があり、十字架と共に胸元へ着けるのも綺麗なバランスになります。
フルール・ド・リスは、永遠の美的デザインの一つと言えるでしょう。
画像のジュエリーはカタログでご覧いただけます、詳細はお問い合わせ下さい。