アンティークジュエリー物語n.33
アールデコ
ジャン・パトゥ III

フランスのクチュリエ、ジャン・パトゥをご紹介した前回のページから引き続き、ジャン・パトゥのさまざまなクリエーションをご覧下さい。
社交界のドレスや、コルセットから解放され、旅にスポーツにと活発になった女性のためのデザインです。

南フランスの社交地ドーヴィルので夜会 1933年 / ジャン・パトゥ 1924年 ヨーロッパで最もエレガントな男性と言われた頃

数ある中でも特にジャン・パトゥらしい、現代に通じる軽やかなエレガンスのシンプルなシルエットでディティールに凝ったものをご紹介致します。

夏の夜会服 1922年 / 黄緑のベロアのボレロとシルクプリントの夜会服 1934年

シンプルなドレスは、アール・デコ時代のジュエリーと似合います。
こちらはアール・デコ時代ならではの ” クリップブローチ ”

アフタヌーンドレスのレディ・アリントン 1934年

クリップブローチは留めやすく、チェーンやコードでペンダントのように身につける事もできるジュエリーで、

クリップブローチ ショーメ・フランス 1910~20年代

カルティエやブシュロン、ショーメ、ヴァンクリフ&アーペルといったフランスのグランサンクの宝飾商も、様々なデザインを作っていました。

コロンバという名のドレス 1923年 / シノワズリー・ドレス1922年
クリップブローチ フランス 1910年代

カラーストーンでは、カルティエがトッティ・フルッティと言う名で、ルビーやエメラルド、サファイアを果物や花のように見せた色石のシリーズを作り、もちろんクリップブローチもありました。

真珠と銀刺繍ドレス 1926~27年

カットのきれいな服に、ジュエリーがより映え、シンプルさが新鮮な魅力を醸し出すのですね。

そしてネックレスとブローチの重ね使いも、服に邪魔されず、ジュエリーが際立っています。

クリップブローチ ヴァンクリフ&アーペル 1910~20年代 個人蔵

ジャン・パトゥは、「 シルエットの若々しさは、女性を最も魅力的に見せる。」と言っています。
綺麗なシルエットと、さりげなく凝ったディティールは、彼の得意としたデザインです。

夜会服 1932年

大振りのダイヤモンドのジュエリーが映える夜会服は、この時代ならですが、

白のカメリア付ドレス / クリップブローチ  フランス 1910~20年代

ペンダントやイヤリングも、ドレスの裾を短くしますと、このまま現代にも通じる感じです。

マダム・ローロ着用のシルクベロアドレス 1934年 / プリンセスの為のベージュのビーズ刺繍ドレス 1922年

そしてジャン・パトゥならではのトロンプルイユ(だまし絵)風ドレスがこちら、
ウエストの辺り、一見フリルに見えますが、ビース刺繍の濃淡でフリル風に見せているわけです。

薔薇色のビーズ刺繍夜会服 1932年

モノトーンが多いのも特徴で、派手な色を使わずとも、細やかなディティールで華やかさは充分に、

黒のカットワークドレス 1938年 / 刺繍ドレス部分 1927年

服やジュエリー、家具やインテリアなどの装飾は、それだけが独立してあるわけではなく、時代性が、デザインや素材に現れています。
ジャン・パトゥは、フランスのアール・デコ時代のシンボルで、良い素材で最も美しいライン、細かなディティールをデザインしています。
ものの美は古今東西通じるもの、彼のメゾンがニューヨークでも成功したのもうなづけますね。
「 庭園、書物、絵画への彼の情熱は、ビアリッツの別荘に現れている 」
と1936年版でジャーナリストが彼について語っていますし、

銀糸織ドレス 1930年

彼自身が「スポーティなラインは最もシックである。」とも言っているように、自然と文学を愛し、活動的な魅力をデザインへ映しました。
1920〜30年代のアール・デコ期は、前世紀までの精緻な技術を昇華させ、永遠に素晴らしいと思える美を作り上げた時代でした。

ここでは、時代の寵児といえるジャン・パトゥのドレスを通して、フランスのアール・デコをご紹介致しましたが、他にも知られざるクチュリエや宝飾デザイナーがいます。別の機会にご紹介をしてまいります。

画像のジュエリーはカタログでご覧いただけます、詳細はお問い合わせ下さい。

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