N°1604 ヴェルノン作 – マリア像 アンティークペンダント

フランスの彫刻作家、フレデリック・ヴェルノン作のマリア像のペンダントをご紹介いたします。
19世紀末から1910年代初期の作品で、真珠母貝へ彫ったマリア像を、プラチナフレームへセットし、プリカジュールエマイユで装飾したアンティークペンダントで、長さ46cmのオリジナルチェーンが付属しています。

台座は縦3.5cm 幅3.0cmのプラチナ製で、ダイヤモンドをセッティングし、フレームにはミルグレーン(彫金による極小粒状飾り)があります。
また、チェーン通しを含めたサイズは、縦4.3cmです。

マリア像の周囲は、多色の、そのうえグラデーションカラーのプリカジュール・エマイユで、光が当たると透けるステンドグラス状に作られています。

モティーフは一重(ひとえ)の薔薇で、薔薇はマリアのシンボルです。

18世紀末から19世紀初期に薔薇の女王と言われたナポレオン1製皇帝の妃「ジョゼフィーヌ」は、マルメゾン宮殿でバラ園を作り、多くの薔薇を東洋からフランスへもたらし、新しい種類を作りヨーロッパへ広めました。
中でも一重の薔薇はフランスの貴婦人に好まれ、19世紀から20世紀前期にかけて金銀、エマイユ、宝石を使った花のジュエリーのモティーフとして、ジュエリーに表しています。

(マルメゾン宮殿に咲く一重の薔薇)

 

ペンダントを斜めから写した画像をご覧ください。
プリカジュール・エマイユは、少しふっくらとしています。
美しい色合いとともにこの凹凸感が、光が当たるとどこから見てもエマイユの色彩が艶やかに見える理由でもあります。

繊細な手や、透けるヴェールの彫刻表現は見事で、向かって左下にヴェルノンの陰刻によるサインがあります。

また、ヴェルノンはメダイユのデザインもしている作家で、18金製などの貴金属作品の場合は、原型を作りそれをいくつかのメダイユに作る事が出来ます。
しかしこのペンダントの真珠母貝や、象牙などの素材へは、ヴェルノンが1作品づつ創作しひとつのジュエリー専用となり、各作品は唯一のジュエリーで希少性が高いものです。

ヴェルノンらしい、美しく優雅なマリア像です。

裏面を見ますと、プリかジュールエマイユのためにプラチナ板をカットしてあることがわかります。
また、マリア像の裏面のプラチナ板には、中央に2つフレーム型文様を組み合わせた装飾と、下方に7.12.60の数字と文様が陰刻で見られます。
数字はなんらかの記念あるいはシンボリックなものと考えられます。

透ける輝きが魅力のプリカジュールエマイユは、装う色によってさまざまな表情を見せる、ルネ・ラリックも愛したデリケートで精緻なヴェルノン作のアンティークペンダントです。

◯ フレデリック・ヴェルノン F.Vernon_宝飾家_彫金・メダイユ作家
ヴェルノン(1858年-1912年)はフランスの彫金作家、メダイユ作家、宝飾家。パリの国立美術学校を卒業し、1887年にローマ賞グランプリを獲得後、ローマのメディシス宮で研鑽を積み、1896年にはフランス芸術家協会のメンバーとなり、1909年には芸術アカデミー会員となった
優雅な人物像を得意とし、フランスの代表的なメダイユを制作、またルネ・ラリックの宝飾パートナーとして有名で、ラリックのジュエリーの人の顔はほぼヴェルノンが創作している。パリ造幣局美術館やフランス国立文書館では作品と資料を所蔵している。

◯ プリカジュール・エマイユ_エナメル_七宝
土台に金属を使わずに、カットした金属板やフレームの内側へ半透明のエマイユを施して焼成する七宝技法の一つ。日本では「省胎七宝」と呼ばれており、光を通すステンドグラスのような仕上がりになる。「プリカジュール」とはフランス語で「光を通す」意味であり、フランス語の宝飾用語である。小さなフレームサイズの場合は、台座を用いないで仕上げるが、大きなフレームの場合は、台座の代わりに雲母を使い焼成後に取り外す、または金箔を裏張りし焼成後に取り外すといった技術を用いる。小さなミスやエマイユの膨張、温度差や量などで焼成する際に簡単に破損するため、非常に高度な技術と経験が必要なエマイユ技法である。15世紀頃のイタリア、ルネサンス時代に完成した七宝技法である。

フランス 19世紀末-1910年代初期
素材: 真珠母貝・ダイヤモンド・エマイユ・プラチナ
サイズ:L4.3cm W3.0cm 
チェーンL46cm
価格問い合わせ ▽

France, end of the 19th century - 1910s
Material: Mother of pearl, Diamonds, Enamel, Platinum
Size: L4.3 cm, W3.0 cm 
Chain L46cm
Price : Please contact us ▽

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