アンティークジュエリー物語n.60
世界のシンボル

いにしえから東洋の人々は、蝶の姿をいろいろな装飾に表しました。
蝶を見かけると良い事が起こる、窓から家の中へ飛び込んでくるのは幸運の知らせ、と言われています。


蝶は長、丁(整った数)という事から吉祥文様として、また美しい姿から美と喜びを表すとして、家紋や婚礼衣装にあしらうなど、お祝い事に使われています。
その文様を装った人を蝶がとまる花と見たて、幸福を祈ったのです。


また、古代中国には魂が蝶の姿になり、飛躍へのチャンスを伝える物語がありましたし、西欧では古くは紀元前のギリシャ時代に遡ります。

古代から「蝶」と言えば魂のシンボルでした。
例えば、ギリシャ神アモルが愛したプシュケは人間でした。
じかに神の姿を見るとその強烈な光で燃え尽きてしまうことから、アモルは蝶の姿となってプシュケの前に現れたという神話があります。


またキリスト教では古代の流れを引き継いで、復活のシンボルとなっています。
以上のように、蝶は世界各国で時代を超えた象徴とされています。

地を這う幼虫から、美しい変化を遂げて飛躍する姿は、良き変化と喜びのシンボルとなり、人と神の間の願いを伝えるメッセンジャーとして尊ばれ、愛されています。

陽の光の下でまたたく羽の色彩や文様の美しさは、ファリーズ、ルネ・ラリック、ヴェヴェール、そしてグランサンクの宝飾商たちといったフランスのアーティストたちの美意識を刺激しました。


フランスをはじめとする北ヨーロッパでは、気温が低いため日本のような色彩の見事な蝶は見られません。

東洋から届いた、絵画や陶磁器に描かれた美しい蝶を愛した宝飾家たち、
彼らの作ったジュエリーには、世紀を超えて今なお、日本の美意識と自然への憧れが密やかに息づいています。
幸福をもたらす蝶のジュエリーは、美、愛、そして東洋への憧れを体現しているようです。

画像のジュエリーはカタログでご覧いただけます、詳細はお問い合わせ下さい。

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