アンティークジュエリー物語n.19
空想
香りのジュエリー I

香水 については、古今東西、語り尽くせないくらいの物語があります。

文学の中に、絵の中に、中世の吟遊詩人の歌の中に、そして誰かの言葉の中に・・・
香りは古代から、嗅覚だけで感覚を刺激し人を虜にする「 見えない芸術 」と言われています。

香水辞典 1865年 フランス 個人蔵

香水と言えばすぐに思いつくのがフランスですが、香りの歴史を紐解くと、アジアからインド、中東、そしてヨーロッパへと、長い時間をかけて伝わって来たことが書かれています。
香水とアンティークジュエリーの関係は? と言いますと、双方とも人の身を飾ることに変わりなく、時としてアイデンティティとなり、フランスには「 その人が、なにを見せてなにを隠しているかを示す 」という古い言葉が残っています。
「 香りは語る 」ということでしょうか。

さて、香水はいったいどのようにして生まれたのでしょう?
19世紀に書かれた本を片手に、その歴史を紐解いてみましょう。

今は香水大国のフランスですが、香水がフランスで使われ始めたのは、今から400年ほど前からで、香りの歴史からみますとわずかな期間です。

香りについて知られているうちの最も古い文献は、紀元前3千年前の古代エジプト時代 、古代エジプトでは、宗教的な儀式やミイラの保存をはじめ、香りを身につけることもしていました。

パヒューム・ランプ 19世紀 クリスタルガラス彫刻 フランス

クレオパトラがアントニウスに会う時には、船からクローヴの香りを立たせ、身には様々な花の香りを、部屋にはバラの花びらを敷きつめたと伝えられています。
当時はポマード状の 練香や香油 にして使っていました。
肌に塗ることで、香り付けとともに皮膚を保護する役目もありました。
今の香り付クリームのようなものだったのですね。

そして、香木をたきしめ体や衣服に匂いをつける「 薫香 」の方法があり、現代のようにアルコールを使った香水は、まだありませんでした。

香水瓶 フランス 19世紀中期

香水はフランス語でパルファン、英語ではパヒューム、今ではこの言葉は、アルコールを使った香水を指しますが、語源となるラテン語の「 ペル・ヒュム 」は、
ペル = 〜によって 、 ヒュム = 燻製、
つまり燻蒸という、煙と湿気による香りを指しました。

香木や樹脂を燃すことで作る香り、古代エジプトでは、殆どの香りがこの方法で作り出され、古代中国やオリエントの国々、そして日本でも、世界中で使われた、最も古い時代からある抽出方法です。

祭壇用香炉

古代エジプトから、そしてインドや中国などオリエントの国々から古代ヨーロッパへ伝わった香りは、人々を魅了しました。
次のコラムn.20では古代ギリシャからローマ へ、香りの旅をお楽しみ下さい。

◁ n.20 揺れる香水 香りのジュエリー II    n.18 真珠のネックレス ▷

ページの先頭へ