N°1814 ワグナー作 – ナポレオン2世と鷲 フランスアンティークブローチ

19世紀前期の宝飾作家、シャルル・ワグナー作の「ナポレオン2世と鷲」のブローチをご紹介いたします。

ワグナー作 ナポレオン2世(エグロン Aiglon)と鷲 ブローチ フランスアンティークジュエリー 

図像は、ナポレオン1世皇帝のシンボル「鷲」と、その息子ナポレオン2世「ナポレオン=フランソワ=シャルル=ジョゼフ・ボナパルト」です。

ナポレオン2世 / ナポレオン1世と2世

 

ブローチのナポレオン2世は、上の肖像画と同じ軍服姿で、勲章とボタンには銀フレームにダイヤモンドのセッティングがあります。

「エグロン(Aiglon)」は、仏語で「小さな鷲」の意味で、鷲をシンボルにした偉大な「ナポレオン1世皇帝」の「子供=小さな鷲」として、ナポレオン2世の異名となっています。

厚みのあるしっかりとした18金板を宝飾彫金師がカットし、形を整え、彫り上げた作品で、ナポレオン2世や鷲の頭部が、上から見ても立体的に仕上げてあり、

裏面は滑らかな艶消しの表面仕上げです。

幅29mm、縦31mmのサイズで、翼の羽毛や大きく広げた翼のどっしりとした感じ、ナポレオン2世の横顔の立体感を彫金であらわしています。

15倍に拡大、実物大の像にしても十分で、彫金を得意としたワグナーの見事な彫りです。

このブローチの宝飾作家「シャルル・ワグナー Charles Wagner (1799-1841)」は、1799年にドイツで生まれ、フランスで活躍した宝飾師、金銀細工師です。

中世やルネサンス様式の細密で凝った、彫金細工やニエロなどのエマイユ作品を得意とし、ジュエリー だけでなく飾るためのオブジェでも有名で、1834年と1839年の万国博覧会に出品し、フランスの王家に続くオルレアン公爵、マリー公女の御用達ともなり、後世にはルーヴル美術館にも作品が保存されているほどの宝飾家でした。下の銀の水差しは、1837年にフランスのルィヌ公爵がダンピエール城へ飾るために注文した品で、1839年のフランスでの博覧会に出品されています。

ワグナー・メンション共同制作 銀製水差し1837-1838年 ルーヴル美術館蔵 / オニキス器彫金宝石 ドイツ ドレスデン グリーンヴォルト美術館蔵
ワグナー・メンション共同制作 銀製水差し1837-1838年 ルーヴル美術館蔵 / オニキス器彫金宝石 ドイツ ドレスデン グリーンヴォルト美術館蔵

 

ワグナーのサインは、WAGNER(Wへ横に紋様)側面下部に彫金であり、

フランス18金刻印(鷲の頭型)は、ピンを留めるパーツ側面にあります。

ナポレオン2世は、フランス皇帝一家の皇太子として生まれたにもかかわらず、母の国オーストリアで苦渋の時を過ごし、母は再婚、実質見捨てられた形で育ち、父ナポレオン1世にも会えず、若くして亡くなった悲劇の皇太子として歴史に知られています。

逝去後、棺はオーストリアに葬られていましたが、1940年にパリのアンヴァリッドへ移し、盛大な式がおこなわれました。アンヴァリッドは17世紀にルイ14世が軍のために創設した病院・廃兵院で、ナポレオンや将軍の霊廟があります。
この措置はナポレオン1世皇帝を尊敬していたナチスドイツのヒトラーによるものでした。
当時、ヒトラーはオーストリアを併合し、フランスを支配下に置いていたため命令を下すことができたのです。

ワグナーのジュエリーはあまり作りが無く、特にナポレオン2世の作品は希少なものです。

ワグナー作 ナポレオン2世(エグロン Aiglon)と鷲 ブローチ フランスアンティークジュエリー 

○ ナポレオン2世
ナポレオン1世皇帝とハプスブルグ家公女マリールイーズ皇后のフランス皇太子、ローマ王。
ナポレオン=フランソワ=ジョゼフ=シャルル・ボナパルト – Napoléon François Joseph Charles Bonaparte(1811年 – 1832年)

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ナポレオン2世皇帝戴冠 1815年

 

1811年 3月20日、フランス パリ チュイルリー宮殿にナポレオン1世皇帝とオーストリア ハプスブルグ家公女マリールイーズ皇后のフランス皇太子として誕生。パリのノートルダム大聖堂でフランス皇太子として洗礼を受ける。
1814年 ナポレオン1世が退位後、母の国オーストリア宮廷で教育を受け、オーストリア皇帝フランツ1世よりライヒシュタット公爵の名を受け、オーストリア軍将校となる。
1815年6月22日-7月7日 ナポレオン2世 フランス皇帝即位
1821年 ナポレオン1世逝去
1822年 母マリールイーズがナイペルク伯爵と結婚、成長しハプスブルグ家により伝えられなかった父ナポレオン皇帝の偉大さを知り、愛国的感情を持つ。
1832年 21歳 病没 ハプスブルク家カプツィーナー納骨堂へ埋葬。
1940年 ナポレオン1世皇帝が眠るパリのアンヴァリッド内の礼拝堂へ棺が移され、現在は父の傍に眠る。

○ シャルル・ワグナー Charles Wagner_宝飾家_彫金師
ワグナー(1799-1841)はドイツに生まれ、フランスで活躍した宝飾師、金銀細工師。中世やルネサンス様式の細密で凝った、彫金細工やニエロなどのエマイユ作品を得意とした。ジュエリー だけでなく飾るためのオブジェでも有名で、1834年と1839年の万国博覧会に出品し、オルレアン公爵、マリー公女の御用達ともなっている。ルーヴル美術館、ドイツのドレスデンのグリーンヴォルト美術館などに作品が保存されている。

フランス 19世紀前期
シャルル・ワグナー作
素材:ダイヤモンド・18金・銀
サイズ:L3.1cm W2.9cm

France early 19th century
Jeweler: Charles Wagner
Material: Diamond, 18K Gold, Silver
Size: L3.1cm W2.9cm

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