N°1530. 古代ギリシャ文様彫金細工 アンティークロニエット

フランスの19世紀中後期のロニエットをご紹介いたします。
「ロニエット」とは、フランス語で、折りたたみ式で長柄のついた双眼の眼鏡のことです。

このロニエットは18金製でレンズ入り、全体に彫金細工をつけ、トリプルカラーゴールド製で、サイズは全長13.5cm、レンズ部分はフレーム含め直径3.9cm、持ち手は長さ9cmです。

彫金は、古代ギリシャ時代の文様で、フレームを支えるのはホタテ貝、持ち手は古代の神殿建築に見られるコリント式柱の形です。
コリント式柱とは、柱の上(柱頭)に植物文様の装飾があるもので、古代ギリシャではアカントスという植物の葉をモティーフにしていました。

このロニエットはまさにコリント式柱装飾です。
各面に縦に線彫りをつけ、レンズに近いところ、持ち手の中央と下、一番下のリングと持ち手を繋ぐ部分に、アカントスの葉文様彫金が持ち手の4面すべてに見られます。

その上素晴らしいのはトリプルカラーゴールド製であることで、イエローゴールドがベースで、葉をグリーンゴールド、葉の背景部分をローズゴールドで作っています。
19世紀当時、現在のように一律の金色ではなく、デザインや理想の仕上げのために、ジュエラーや宝飾工房が、独自の金色を使いました。
このロニエットはそんな時代のお品で、線彫り、アカントスの葉文様、背景全てを宝飾彫金師が創作しています。

拡大しますと、線彫りの先は丸く仕上げてあり、アカントスの葉文様は、凸の表面には艶仕上げ、凹面は艶消し仕上げをつけ、葉の背景のローズゴールド部分は、0.1mmほどの非常に細かい槌打ち細工で、表面効果をつけているのがわかります。

精緻な彫金だけでなく、このようなルーペでみないと分からないようなデリケートな仕上げが、
目視での全体の美しさを作っています。

上の画像のリングの右下にある凹みは、歪みではなく2つのフランス18金刻印です。
他の刻印は、レンズフレームを繋ぐバーに、フランス18金刻印が1つ、フランス宝飾工房刻印の菱形内に「G」「釣鐘型の上に円型文様」「J」が1つ、作品番号「755」の刻印が1つあります。

開閉は中央のアカントスの葉文様彫金部分を押すと開きます。

レンズからレンズの幅は9.8cm、

ロニエットを閉じるときはこんなふうに、レンズフレームを押しながら重ねて、持ち手の一番上の部分にフレーム付スペースへ入れますと、カチッと音がして、重ねた状態でセットされます。

この時、開くときに押し下げた中央のパーツに触れる必要はありません。
スライドさせセットするだけで、しっかりと留まります。

見え方はこれくらい、レンズは1.8-2倍くらいではっきり見えます。
眼鏡店でご自身の度のレンズに交換も可能です。(詳しくはご利用の眼鏡店へご相談下さい。)

レンズは目視や白背景では左右とも傷なく綺麗ですが、

右手で持った時に左側に来るレンズの青い矢印部分に、1.5mmほどの引っ掻き傷が見られることと、その上あたり1cm圏内にうっすらとしたスレが見られます。
通常に物を見るときに、この傷とスレが視界を邪魔をすることは無いと見られますが、良く見えるように黒い背景で撮影しています。

ロニエットはレンズ入りで28.4g、重すぎず、軽いジャケットでも胸ポケットに入れられる重量感です。
19世紀中後期当時は、こんなふうにロングチェーンをセットし、貴婦人なら上着やドレスのベルトへ通して、男性ならジャケットの専用ループやボタンホールへチェーンを通し、ポケットへロニエットを挿して使いました。

(ロニエットを持つ貴婦人の肖像 19世紀前中期)

 

古代ギリシャの神殿にみられる柱装飾や、トリプルゴールド製が魅力で、ありそうで無い、18金製のフランスアンティーク・ロニエットは、取り出す仕草も素敵な小物です。

上のロングチェーンは参考品です。チェーンをご希望の方はご提案いたしますので、お問い合わせください。

フランス 19世紀中後期
素材:18金・レンズ
ロニエットサイズ 閉じた状態: L13.5cm
レンズ部分(フレーム含む)直径3.9cm
価格問い合わせ ▽

France, mid to late 19th century
Material: 18K Gold, lens
Lorgnette size closed: L13.5cm
Lens portion (including frame) diameter: 3.9cm
Price : Please contact us ▽

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