N°1571 ブシュロン カフスボタン ルビー ロシアンピラミッドカット アンティークジュエリー

1940年代フランスのジュエラー「ブシュロン ※下方参照)」のカフスボタンをご紹介いたします。
18金の台座へ、ルビーをセッティングしたカフスボタンで、ルビーはフランスでロシアン・ピラミッドカットと呼ぶ、丸みのある三角錐のカットの石です。
さて、ピラミッドカットとは、もちろんエジプトのピラミッドの形のことですが、どうして宝石のカットに使うのでしょうか。

それは、エジプトのピラミッドは「黄金比」であることから始まります。

黄金比(約1:1.6)は、ピラミッドやパルテノン神殿、凱旋門などの建造物や、ミロのヴィーナスなどの美術品にも見られます。
ピラミッドの場合は、底辺の長さと、高さの比率が約1:1.6で、厳密な黄金比(1:1.618)と少し違いますが、数千年の風化を考えると、もとは完全な比率だったと考えられています。

黄金比は、人が見て美しいと感じる比率ですが、その理由は、世界の謎の一つです。

このロシアンピラミッドカットが美しい理由も、古代から伝わりヨーロッパの美の基準になった「黄金比」にあり、古代ギリシャから、この小さなカフスボタンへ、数千年の叡智がつまっているのです。

ルビーの総数は24石、1つのカフスボタンに、12石がセットしてあります。

ブシュロン・パリの刻印、工房刻印、このカフスボタンのデザインの、開閉部分の動作システムの特許印があります。

開閉は、上のバーを上下することで行います。
バーの内側に凹があり、その部分をカフスボタン本体のバーへセットする仕組みで、カチッと音がなり、しっかりと開閉できます。

このカフスボタンは、世界的に知られた当時の特徴的なブシュロンならではのデザインの一つで、開閉パーツの形だけでなく、デザイン特許も取得していました。
完成度の高いジュエリーデザインとして、ジュエリーの歴史やカフスボタンの書籍には必ずと言っていい程掲載されています。

ブシュロン ルビー ロシアン ピラミッドカット カフスボタン アンティークジュエリー

ロシアン・ピラミッドカットの名の由来は、形は三角錐ですが、古代ピラミッドのように面が平たいものではなく、ロシアの建築の屋根にあるような、丸みをつけた形からきています。

また、この石のカットは非常に贅沢なもので、当時でもあまり行われず希少です。
その理由は、普通の丸いカットより、大きな原石が必要なこと、ファセット(面取り - 石の輝きを増す)を付けないので、石そのものに綺麗な色と輝きがあることが条件になり、その上カットの工程で、捨てる部分が多くなり、大変高価になってしまうからです。

フランスの詩人ジャン・コクトー、このタイプのカフスボタンには、彼の角丸のカフスが似合う。
フランスの詩人ジャン・コクトー、このタイプのカフスボタンには、コクトーの着ているような角丸のカフスも似合います。右下はパリのロシア正教会文化施設  2016年竣工

 

宝石が外側にありますので、当たるのが気になるように思えますが、実はその点も上手なデザインで、着けますとジャケットの袖で保護される位置に石があることと、カフスボタンの上のフレームが、まず触れるところになります。人によって違いはあるかもしれませんが、このデザインが特許を取っただけのことはあると言えるでしょう。

果物のフランボワーズ色のルビーが魅力のうえ、ファセットをつけないロシアンピラミッドカットは、光らないでいて、光ってくるもの、目立たないようでいて、いわゆる底光するカットです。

シックなメンズジュエリーで、女性がされても素敵なブシュロンのアンティークカフスボタンです。

◯ ブシュロン Boucheron ジュエラー_宝飾商
19世紀中頃から続くフランスの宝飾商。フレデリック・ブシュロン(1830-1902)により1858年にパリの中心、パレ・ロワイヤルに創立した。1867年のパリ万国博覧会では、プリカジュール・エマイユ製の手鏡が金賞を受け、ティファニーのための作品も多く創り、アメリカで注目されることとなり、成功を収め、その後の1878年のパリ万国博覧会では3大グランプリを受賞し、ヨーロッパの王侯貴族や富豪の御用達となった。フレデリック・ブシュロンの特徴は、宝石の美しさと宝飾技術に加え、芸術家や感覚の優れた文芸界の人々をデザインチームへ投入し、先端的なデザイン性の高さを誇ったことと、そのアーティストたちの功績を内外に広めたことにある。古さを感じないモティーフや形は、今のジュエラーの憧憬となっている。1893年には今に続くパリ本店をヴァンドーム広場へ開店し、ロンドン、モスクワへもブティックを広めた。1960年代にはイランのシャーのロイヤルジュエリーコレクション展を立ち上げるなど、アートとジュエリー界を牽引するメゾンでもある。一族のアラン・ブシュロン(1948-)以降は、インターナショナルビジネスグループに引き継がれたが、パリのグランサンク(偉大なる5大ジュエラー)のひとつとして今に存続する。

フランス 1940年代
ブシュロン
素材: ルビー・18金
サイズ:L2.1cm W2.5cm D0.75cm
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France 1940s
Jeweler: Boucheron
Material: Ruby, 18K Gold
Size: L2.1cm W2.5cm D0.75cm
Price : Please contact us ▽

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