N°1199 フロマン=ムーリス – シメール(キマイラ)彫金アンティークブローチ

19世紀の偉大な宝飾作家のアンティークジュエリー、彫金を駆使したダイヤモンドのフロマン=ムーリスのブローチをご紹介いたします。
フロマン=ムーリスはパリの宝飾師で1830年代からジュエラーとして数々の賞を受け、ゴシック・ルネサンス様式を得意としたメゾンです。

18金と銀でフレームを作り、彫金とダイヤモンドで装飾をした作品です。

シメールのフロマン=ムーリス作ブローチ

彫刻のモチーフは「シメール」です。
シメールとは別名キマイラとも言い、頭がライオン、尾が竜で鷲の翼を持つ神話の動物です。


すでに古代ギリシャ時代には、詩人ホメロス作の「イーリアス」へ記述されており、19世紀には歴史主義様式のモティーフとしてシンボル的なものとなり神話のロマンティックなイメージや、形の綺麗さだけでなく、時には守護のモチーフとしてジュエリーになりました。

下の絵は1867年、フランスの神秘派の画家ギュスタヴ・モロー作の「シメール」です。

(シメール ギュスタヴ・モロー作 1867年 ケンブリッジ フォッグ美術館蔵)

 

フランスではシメール(英:キマイラ)は「空想」や「幻想」のたとえとなっており、女性がシメールとともに空想の世界へ旅立つ姿を描いています。

伝説の動物シメールは、獅子の胴体や竜の頭部の他にも、この絵のように人間の顔に馬の胴体で表されることもありました。
この絵は特にモローの想像力を加えたドラマティックな絵画となっています。

19世紀には中世時代様式のシメールのモティーフが好まれ、フロマン・ムーリスをはじめ、フォンス・フーケのシメールをデザインした女性用王冠や、カルティエのシメールペンダントなども非常に評判を呼びました。

彫金師による非常に細かな彫りはもとより、表面仕上げの見事さは艶消し部分と艶仕上げを巧みに使いこなした部分などは卓越した技術で作ってあるのがわかります。

銀フレームにセットしたダイヤモンドは、下方のルネサンス時代様式の植物文様をはじめ、シメールの翼に沿って飾った部分など、ブローチのデザインの美しさが際立っているアンティークジュエリーです。

※  フロマン=ムーリス Froment Meurice
フランソワ=デジレ・フロマン=ムーリス(1801-1855)はフランスのロマン主義芸術家で最も重要な金銀彫刻宝飾作家の一人であり、19世紀におけるゴシック及びルネサンス様式のパリの偉大な工房でもありました。
宝飾箱、ジュエリー、花瓶、化粧台、カップ、燭台など様々なオブジェを、王侯貴族からの注文により金銀や宝石を使った彫刻で創作しました。
ルイ・フィリップ国王やペルシャのシャーの王室注文を受け、1844年と1849年のパリ博覧会では金賞を受賞、1848年にはパリのマドレーヌ寺院の注文、1851年のロンドン博覧会では、現代に至るまでこれを越える金銀彫刻作品はない言われるほどの最も素晴らしい作品として歴史に名を残したパルム侯爵夫人の化粧台を出品しました。
また芸術家として、19世紀フランスの偉大なる作家オノレ・ド・バルザックやヴィクトル・ユーゴーとの親交があるなどパリの芸術家サロンの中心人物の一人でもありました。
フランソワ・デジレの1855年の逝去後、子息のエミール・フロマン・ムーリス(1837-1913)が工房を継ぎ、1867年の博覧会では賞を受け第二帝政時代の最も重要な工房となりました。

19世紀中後期
フランソワ=デジレ・フロマン=ムーリス
素材: ダイヤモンド・18金・銀
サイズ:L4.8cm x W5.5cm
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Brooch
Late 19th century
Jeweler: François-Désiré Froment-Meurice
Material: Diamond, 18K Gold, Silver
Size: L4.8cm x W5.5cm
Price : Please contact us ▽

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