N°0440 フローラ - 花の女神 17世紀カメオ アンティークペンダント

17世紀前期、フランスのカメオ付ペンダントをご紹介いたします。
カメオはアゲートへ古代神話の女神フローラの肖像を彫ってあり、チェーン通しのバチカンを含み縦5cm、幅3cmのサイズです。

花の女神は古代ギリシャ時代には、クロリスという花々を創生する女神として、古代ローマ時代には春を呼び起こす花の女神フローラと呼ばれていました。

この15世紀後期から16世紀にルネサンス時代の画家ボッチチェッリが創作した、「プリマヴェーラ – 春」という絵画では、右端の西風の神ゼフィーにより呼び起こされたクロリスが、花の女神フローラに変化し、中央の春の女性像へ続く様子を一つの画面のなかで描き、春をシンボリックに表しています。

(春 ボッチチェッリ ウフィツィ美術館蔵 フィレンツェ)

 

カメオは、1600年代前期の作品です。
淡い白からベージュトーンの濃淡、そして背景の濃灰と焦茶を混ぜた、深みのある色のアゲート層を生かした彫りが特徴的です。

カメオの横顔は、古代ギリシャ時代の様式からインスピレーションを受けたルネサンス時代的な表情です。
例えば16世紀に活躍したイタリアルネサンスの画家、プリマティッチオは、ギリシャ型と言われるカメオと同じようなデッサンを残しています。

(プリマッティオ 素描 ルーヴル美術館蔵)

 

顔や首元のアゲート層は透けるような淡い白で、光があたると彫りの厚みの加減で陰影が現れます。
均一の白色の中に、石の性質を考え彫りに凹凸をつけ、カメオに彫像と同じ立体感を見せるのは、相当の彫刻技術と感覚の持ち主といえるでしょう。

頭部には、花の女神のシンボルの、花と月桂樹の冠を着け、布を巻きつけた古代装束トーガの肩には、同じく花飾り留めつけています。

18金のフレームはカメオの美しさを引き立てるもので、18金で石の表裏を丸く囲み込みセッティングしています。

この作りは一見シンプルですが、実は完全な左右対称ではない僅かにイレギュラーな形の石を、目視した時にバランス良く、程よい厚みでイレギュラーさを感じさせないように作るには、宝飾師の技術とセンスが必要なものです。
シンプルなほど、美しく仕上げるのは難しいというわけです。

裏面を見ますと、アゲートの色層の豊かさが見え、この石を選び、花の女神を掘り上げた彫刻家の美意識がわかります。

18金のチェーンと似合う、デリケートな色層のアンティークカメオのペンダントです。

(※ 画像のチェーンは参考品です。)

フランス 17世紀前期 
素材:アゲート・18金
サイズ:L5.0cm W2.9cm
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France, early 17th century 
Material: Agate, 18K Gold
Size: L5.0 cm, W2.9 cm
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