N°1382 F.ヴェルノン作 – 夜の女神 彫金ブローチ
フランスの19世紀末から1900年頃のアンティークブローチをご紹介いたします。
古代ギリシャ神話の夜の女神「ニュクス」を彫金し、ダイヤモンドをセッティングしています。
宝飾作家で著名な彫金師であったフレデリック・ヴェルノン作で、サイズは縦2cm、幅1.9cmです。
このブローチの時代、古代神話を題材にした芸術品が好まれました。
現在パリにギュスタヴ・モロー美術館がある、フランスの当時の画家ギュスタヴ・モローは、星が輝くもとに立つヴェールを纏った「ニュクス」を描いています。

ヴェルノンは当時の最も美しい顔を彫る作家として、またルネ・ラリックのジュエリーの宝飾彫刻家として知られていました。
その魅力ある美しい表情に惹かれ、ラリックは人の彫刻のほとんどをヴェルノンに依頼していたほどです。
ヴェルノンは、18金へ彫金しこのブローチを創作しました。
細やかなレリーフで、わずか数ミリの凹凸の範囲に、表情や植物、ヴェールの透けた感じを見事に表現しています。その精度は、25倍に拡大したこの画像からもわかります。
ブローチは、光の当たる方向で表情が変化し、星にセットしたダイヤモンドが輝きます。
彫金をしてあるのが固い貴金属であることが信じられないほどで、滑らかなカーヴや凹凸に仕上げてあり、艶消しと艶感を出した部分をつけています。
ヴェルノンの刻印は正面左下にあり、裏面はピンブローチ型です。
ニュクスとはギリシャ語で夜の意味で、夜を神格化した女神像です。
目を閉じ、星をヴェールに散らし、花々を眠らせ静かな夜の訪れを告げている姿です。
現代のように電灯がなく夜が暗かった時代、古代から夜は未知の世界でした。眠りにつき入っていく夢の世界は、神秘であり、魔的な力が宿るとされていました。
ニュクスは、そんな神秘の世界を司る女神です。
ヴェルノンにしか出せない優雅で見事なレリーフが魅力で、ニュクスのモティーフも珍しいアンティークブローチです。
◯ フレデリック・ヴェルノン F.Vernon_宝飾家_彫金・メダイユ作家
ヴェルノン(1858年-1912年)はフランスの彫金作家、メダイユ作家、宝飾家。パリの国立美術学校を卒業し、1887年にローマ賞グランプリを獲得後、ローマのメディシス宮で研鑽を積み、1896年にはフランス芸術家協会のメンバーとなり、1909年には芸術アカデミー会員となった
優雅な人物像を得意とし、フランスの代表的なメダイユを制作、またルネ・ラリックの宝飾パートナーとして有名で、ラリックのジュエリーの人の顔はほぼヴェルノンが創作している。パリ造幣局美術館やフランス国立文書館では作品と資料を所蔵している。
フランス 19世紀末 - 1900年頃
宝飾作家:フレデリック・ヴェルノン
素材: ダイヤモンド・18金
サイズ:L2.0cm W1.9cm
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France, late 19th century - circa 1900
F.Vernon
Material: Diamonds, 18K Gold
Size: L2.0cm W1.9cm
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