N°1250 スー・ド・ラ・クロワ伯爵作 – カボション型プリカジュールエマイユ アンティークペンダント

フランスの19世紀末から1900年代初期、アール・ヌーヴォー装飾時代の宝飾作家のペンダントをご紹介致します。
宝飾作家の名は「スー・ド・ラ・クロワ伯爵(1840-1914)」、フランスのジュエラーでエマイユ作家で、下の画像のフランスの19世紀末の宝飾作家辞典には、作品の掲載があり、アール・ヌーヴォーを代表する宝飾作家として知られています。
伯爵の名の通り、貴族階級に生まれ、パリから近しいところの領主で、49歳からはパリへ移り終生を過ごし、生まれ持った芸術的センスを生かし、19世紀末から1900年代初期にアーティスト・ジュエラーとして創作をしていました。

カボション型プリカジュール エマイユ スー・ド・ラ・クロワ伯爵作 アンティークジュエリー

スー・ド・ラ・クロワ伯爵のジュエリーの特徴は、ステンドグラスのように光を通す七宝技術の「プリカジュール エマイユ」を使い、まるで宝石がセットしてあるような、盛り上がったカボションのエマイユを作り出したことです。作品はフランス中世時代様式の、天使や女神、百合の紋章、花々、昆虫などがみられます。
現在、パリのオルセー美術館には、伯爵のデッサンとこのペンダントのトップにある百合の紋章と同じスタイルの作品が保存されています。

1900年頃の作品_1897-1913年のデッサン オルセー美術館蔵

 

このペンダントは、全体に宝飾師による彫金文様をつけ、フランスで「ヴェルメイユ(18金鍍金)」というシルバーギルドの台座に、植物紋のカボション型プリカジュール エマイユで飾っています。
伯爵の作品は、上のデッサンやこのペンダントのように、中央に天使や女神などの人物を彫金があり、周囲に装飾があるメダイユであるのが特徴の一つです。
ご存知のように通常のプリカジュール エマイユは、薄いものが殆どですが、このカボション型プリカジュール エマイユの技術は、スー・ド・ラ・クロワ伯と後継者のジャンヌ・ド・モンティニィのみが可能だったアーティスティックな技術です。

カボション型プリカジュール エマイユ スー・ド・ラ・クロワ伯爵作 アールヌーヴォー アンティークジュエリー

形は、円を重ねたクロス型です。中世時代の教会装飾などに見られる形の円を重ねた十字で、上には中世時代のフランスの百合の紋章があります。
百合の紋章の位置に、フランス銀刻印、宝飾工房刻印があり、宝飾作家のサインは下の側面に〝 DU SUAU DE LA CROIX 〟(スー・ド・ラ・クロワ)とあります。
裏面も彫金で飾っています。

花は、上下が紫色が思慕のシンボル「パンセ  〜三色菫」、左右の青と濃い赤紫は「ブルーエ 〜わすれな草」でしょう。横から見ますと、カボション型プリカジュール エマイユが、まるでカットした宝石のように光っています。

中央には、細かい彫金細工のフレームの中に、パーム椰子の1枝をたずさえた聖母マリア像が彫金してあります。パームの1枝はキリストがローマ着いた時に、民衆がパームの枝を捧げたという聖書にあるシンボリックな植物で、マリア像は愛と平和を示しています。

また、「ヴェルメイユ(シルバーギルド)」はプリカジュールエマイユの美しい色を邪魔しない淡いイエローゴールドで、マリア像の周囲や彫りの凹凸に合わせて、施した部分とそうで無い部分を分け、金銀の2色で仕上げているのも凝っており、マリアの優雅な感じに似合っています。

サイズが縦8.6cm、幅7.0cmと大きめのペンダントトップですが、色彩のバランスにはこの宝飾作家ならではの美しさがあり、細かい彫金がデリケートな印象で、チェーン通しの内径が9mmありますので、画像のような少し太めのチェーンで着けられても綺麗です。

カボション型プリカジュール エマイユ スー・ド・ラ・クロワ伯爵作 アールヌーヴォー アンティークジュエリー

上の銀製アンティークチェーンは当店で取り扱いのあるチェーンですが、他にも似合うチェーンをご紹介致せます。

◯ スー・ド・ラ・クロワ伯爵(1840-1914) Enguerrand du (comte) Suau de la Croix
フランス人のエマイユ作家で宝飾師。1840年10月13日にスシーアンブリーの18世紀のプチ・ヴァル城館で貴族の家系に生まれ、1914年3月19日にパリのアヴェニュー・ボスケ81番地で逝去する。エマイユの高度な技術を持ち、カボション型半透明エマイユの新しい技法の革新者であった。まるで色石をカボションカットにレリーフしたようなエマイユを貴金属フレームへ施し、プリカジュールエマイユに仕上げる独自の技術で作られている。1898年から1913年にかけて創作活動を行い、パリのサロン・ド・アーティストなどの展覧会に出品している。現在、スー・ド・ラ・クロワ伯爵の作品やデッサンなどのアーカイヴコレクションを、フランス、パリのオルセー美術館が所蔵している。

宝飾作家 スー・ド・ラ・クロワ伯爵作
フランス 19世紀末-1900年代初期
素材: プリカジュールエマイユ・銀・金鍍金(ヴェルメイユ_シルバーギルド)
サイズ:L8.6cm W7.0cm
チェーン用リング直径1.1cm 内径0.9cm
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Pendant
Jeweler: Suau de La Croix Enguerrand, Count
France Late 19th century-early 1900s
Material: Plique à jour Enamel, silver, 18K gold plating
Size: L8.6cm W7.0cm
Top ring 1.1 cm
Price : Please contact us ▽

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